神戸就業規則サポートセンターが、あなたの会社の人事労務に役立つ情報をお伝えします。
終業時間が過ぎても、自ら進んで残業をする社員がいます。
「うちの会社は残業代を支払っていないのに、会社のために頑張ってくれているなぁ」
と思っていませんか?
残念ながら、「サービス残業」は世間では通用しなくなっています。
初めは、「サービス残業」をしていた社員も、インターネットなどで知識を得て、
「今までの残業代を支払ってください。まとめて請求します。」
と訴えてくるかもしれません。
「会社は残業を指示した覚えはない。勝手に残業をしていたのだから残業代は支払いません。」
なんて対抗してもダメです。
上司が残業を指示していなくても、残業していることを知っていれば「黙示の時間外労働」となり残業代支払いの対象となります。
未払い残業代は2年分まで遡って請求することができます。
例えば、毎日2時間程度残業をし、残業の時給単価が2,500円とした場合。
2年分の未払い残業代は
2時間×20日×2,500円×24カ月=240万円となります。
未払い残業代を請求してくる社員は1人だけとは限りません。
複数の社員が請求した場合、あなたの会社は支払うことができるでしょうか?
「未払い残業代を請求される前に対策をたてておきたい」
とお考えの経営者の方
残業に関するルールを定め、対策を練っていきましょう。
サービス残業は通用しない
「どこの中小企業も残業代なんてきっちり支払っていなよ。サービス残業なんて当たり前でしょ。」
と中小企業経営者の声をよく聞きます。
気持ちはわからなくはありません。
しかし、サービス残業は「賃金未払い」という労働基準法に違反しています。
法律違反のままでいることは、社員側から思わぬしっぺ返しを喰らう可能性があります。
何も言わずサービス残業をしていた社員も、
・インターネットで知識を得た
・会社とちょっとしたトラブルになった
・退職する
といった機会に、「過去のサービス残業の未払い残業代を支払ってください」
と訴えてくることもあり得ます。
最近は、労働者に対し「未払い残業代請求を支援するサービス」を提供している弁護士の方も多くおられます。
(「未払い残業代」「サービス残業」と検索して確認してみてください。)
「わかりました。今月から計算するようにします。」ではすみません。
それは、未払い残業代は過去2年分まで請求することができるからです。
請求する社員の人数によっては、
未払い残業代の支払いで、会社経営の存続が難しくなる事態になることもあります。
そのような事態になる前に、法律を踏まえ、残業管理について対策をとりましょう。
残業は申請・許可制にする
社員の自主的な残業だけでなく、残業をさせているのに関わらず残業代を支払っていないというケースもあるように、
サービス残業には様々なタイプがあります。
「自主的な残業」については、会社命令以外の残業は禁止しましょう。
残業が必要な場合は、
「残業をする必要性」
「業務内容」
「残業予定時間」
を書面で申告してもらい、上司が許可をした場合、残業ができるようにします。
もちろん、許可を得て行った残業に対しては、きちんと「時間外労働手当」として支払います。
「残業代を支払うと、人件費がかさむ…」と悩むことはありません。
許可制を運用していくと、自ずと残業は減っていくでしょう。
残業申請・許可制を運用する方法
「残業の事前許可制のルールを作ったのに、社員は申請書を提出せずに残業している…」
「上司も黙認している…」
ルールを作っても、運用されず形骸化してしまっていることはよくあるケースです。
そのまま放置しておくと、未払い残業代の経営リスクは全く改善されません。
ルールを作ったからには、徹底して運用していく努力を怠ってはいけません。
第一に行うべきことは、「上司に対しての指導」です。
ますは、未払い残業代の経営リスクや労働時間マネジメントと必要性を教育します。
そして、部下からの残業申請に対し、許可・却下の判断基準を社内で共有します。
上司が、リスクと労働時間マネジメントの必要性を理解し行動することで、部下も効率的な働き方の大切さを実感していくでしょう。
最初に上司の意識改革を行えば、職場の作業効率があがり、「残業をせざるを得ない環境」も変わっていくでしょう。
そして、ルールを徹底するには、就業規則に残業の事前許可制の条文を記載しておくことも忘れずに。
残業申請書式例&残業申請制度に関する就業規則の規定例
社会保険労務士が監修した
残業申請書式例&残業申請制度に関する就業規則の規定例
をワードファイルでご提供しています。
御社の実情に合わせ、修正して活用することができます。
就業規則規定例のダウンロードは以下のバナーをクリック。
就業規則専門、神戸就業規則サポートセンター代表 社会保険労務士の清水がお伝えしました。
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