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試用期間中の解雇は自由にできると思われている経営者の方
試用期間中だからといって、安易に解雇をすると、トラブルの元となりますよ。
試用期間中の解雇。損害賠償を請求されるかもしれません。
新しく社員を採用したけれど、
「遅刻や欠勤が多く勤務態度が悪い」
「採用時に思っていた程仕事ができない」
といった理由で、試用期間中に辞めてもらう、または、辞めてもらいたい、
と考えることがありますよね。
「試用期間中はお試し期間だから、自由に解雇できる」と思われている経営者の方、安易に解雇をすると、後々、大きなトラブルになりかねませんよ。
場合によっては、不当に解雇されたことが原因で受けた精神的苦痛に対する慰謝料として損害賠償金を請求されるケースは数多くあります。
不当解雇の損害賠償金額の相場はだいたい50万円から100万円。
労働基準監督所や裁判所は、多くの場合、元社員側に有利な判断が下されると思っておいてください。
トラブルへの対応で、多くの時間をとられ、おまけに、損害賠償金まで支払わなければならなくなったら、たまりませんね。
トラブルにならないための、試用期間中の解雇についてご説明いたします。
トラブルにならず、試用期間中に解雇するには
試用期間とは、文字通り、「試しに用いる期間」です。
試用期間中は本採用後に比べ、解雇がしやすくなっています。
ただし、どんな理由でも自由に解雇できるかというとそうではありません。
ある程度、誰もが「この社員なら、辞めてもらっても仕方ないよね」という理由が必要になります。
無断欠勤や遅刻を繰り返す問題社員の場合は、会社からの指導が求められます。
無断欠勤した翌日に「明日から、もう来なくて良い」
といって解雇することは認められません。
「これ以上無断欠勤があれば、試用期間中に解雇しますよ。明日から、気を引き締めて出社するように。」
繰り返し指導したにもかかわらず全く改善されないとなって初めて解雇ができようになります。
「採用当時に思っていた程能力がなく、仕事ができない」
という理由での解雇も不当解雇と判断される場合があります。
仕事ができないといった理由の解雇では、解雇するまで、会社として努力したかどうかが問われます。
わかりやすく言うと、
業務に必要なスキルを習得できるように教育したり、何度アドバイスしても仕事ができるようにならないなら部署転換を打診したりと、
「あらゆる手を尽くしてもやっぱり解雇しか考えられない」
という状況になって、初めて認められます。
試用期間中に、自社への適性を判断する
採用面接では、どの程度仕事ができるかを見抜くことは、ハッキリいって難しいです。
人手不足の状況では、会社が選り好みできるほど、応募者はいません。
いい人が応募してきたら採用する、といった時間的な余裕もありません。
とりあえず採用する、というのが中小企業の現状でしょう。
そのような事情ですから、中小企業こそ、使用期間をうまく活用してください。
試用期間中は、採用した社員の自社への適性を審査する期間と考えましょう。
管理職や指導係の方は、適性が判断できるようにどんどん仕事をさせてください。
会社に慣れるまでは様子を見ながら仕事してもらおう、と遠慮していてはいけません。
そして、管理職や指導係の方はその方の適性を真剣に評価してください。
評価内容は経営者や担当役員にこまめに報告しましょう。
試用期間が終了するまでに、本採用できるかどうか判断し報告しなければなりません。
私は、試用期間の終わりにテストをすることをお勧めしています。
試用期間後、本採用をしない場合、トラブルになる可能性は多くあります。
客観的な基準かあれば、採用をしない理由を説明することができ、トラブルを防ぐことができるようになります。
具体的なテスト内容は、
・経営方針の理解度
・商品知識に関する筆記試験
・業務改善レポート
・口述試験
・面接
などを実施します。
本人への説明、トラブルになったときの立証、のためには客観的な記録で説明できるようにしておくことが重要です。
就業規則にも使用期間後の採用の可否についての判断基準を記載しておくことも重要です。
「試用期間」に関する就業規則の規定例
社会保険労務士が監修した
「試用期間」に関する就業規則の規定例
をワードファイルでご提供しています。
御社の実情に合わせ、修正して活用することができます。
就業規則規定例のダウンロードは以下のバナーをクリック。
就業規則専門、神戸就業規則サポートセンター代表 社会保険労務士の清水がお伝えしました。
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