休職・退職・解雇

就業規則のひな形のまま休職期間を設定している会社はリスクが高い

あなたの会社の人事労務・働き方改革に役立つ情報をお伝えします。

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あなたの会社は、就業規則のひな形をそのまま使っていませんか?

もし、そのまま使っており、修正や見直しをした記憶がないと思ったら、就業規則の「休職期間」に関する規定をいますぐ確認してみてください。

もしかしたら、[keikou]とてもリスクの高い就業規則[/keikou]になっているかもしれません。

 

就業規則のひな形のまま休職期間を設定している会社はリスクが高い

 

長い休職期間はリスクが高い

多くの就業規則のひな形に規定されている休職期間の1例です。

(休職期間)

第○条 第△条の定めにより休職を命じた者については、次の期間を限度として休職期間を定める。

勤続期間 休職期間
勤続1年未満 6カ月
勤続1年以上3年未満 1年
勤続3年以上 2年

 

会社によってはこれよりも長めの期間が設定されている場合もあるのではないでしょうか。

 

例えば、従業員数が30人規模の中小企業で、

上記の規定例のように2年の休職期間が就業規則に設定されているとした場合、

実際に2年程度の療養が必要な病気で休職者がでたと考えてみてください。

 

本来、休職者が担当していた仕事を他の従業員が引き受けなければなりません。

そのやりくりができれば問題ないのですが、それが難しければ、新たに社員を雇わなければならなくなります。

そして、休職者が復帰する2年後、補充した社員の分、[keikou]人件費が増加[/keikou]することになります。

 

また、休職中、従業員からの労務の提供がなく給与が支払わなければ労働保険料(労災保険・雇用保険)の支払いは発生しませんが、

厚生年金保険料 健康保険料は払い続けなければなりません。

 

このようなリスクを負ってまで、2年もの休職期間を設定することは、

体力に限界のある中小企業にとってデメリットが大きいといえます。

 

休職期間の決め方

休職期間は解雇を猶予している期間

休職期間が満了すると、[keikou]自動退職[/keikou]とするのが一般的です。

 

就業規則には次のように規定している場合が多いでしょう。

「休職期間が満了しても休職事由が消滅しない場合は、休職期間の満了をもって退職する。」

 

ですので、休職期間は解雇を猶予する期間としての性格を持っています。

 

休職期間は短いほど社員には不利になります。

逆に会社にとっては休職期間は短いほど良いことになりますが、

労働基準法の解雇予告の規定(原則、解雇するには30日前の予告を要する)とのバランスから、[keikou]最低でも30日以上[/keikou]とすべきでしょう。

 

勤続年数に応じて決める

[keikou]休職期間は30日(1カ月)以上、長くても6カ月[/keikou]が妥当ではないでしょうか。

 

一律に休職期間を設定するのではなく、

勤続年数の長さに応じて休職期間を調節しましょう。

 

勤続年数が短い場合は休職制度の対象外とすることもできます。

 

なかには、1年や2年待ってでも復職してほしい社員がいるケースもあるでしょう。

柔軟に対応できるようにするため、休職期間の延長規定を入れておくことをお勧めします。

延長する相当な理由があれば、トラブルは起こりません。

 

休職を繰り返す社員対策も必要

就業規則の休職制度が不備な場合、それを悪用し、何度も休職を繰り返す問題社員もいます。

 

たとえば、2年の休職期間が設定されている会社で、

1年11か月休職したのち、職場復帰する。

そして、数週間ほど出社してまた1年11か月休職するといったパターンです。

 

休職期間は満了していませんので、会社としては自動退職させることはできません。

不備のある休職制度を悪用しており、会社としては対抗することができないのです。

休職期間の通算制度を規定しない場合、このような事態になる可能性があります。

 

2つのポイントを踏まえ、通算制度を規定しておくと良いでしょう。

[keikou]ポイント1:復帰後、一定期間内に再び休職した場合は、休職期間は通算する[/keikou]

 

[keikou]ポイント2:同一または類似の事由で休職した場合は、休職期間は通算する[/keikou]

 

診断書の提出を義務付ける

休職事由を確認するためにも、医師の診断書の提出を義務としましょう。

さらに、会社が指定する医師の診断書の提出を要請できるように規定しておきましょう。

 

医師の診断書発行には費用が掛かります。

会社が負担するのか、社員本人が負担するのかを事前に取り決めておかないと、後にトラブルになります。

 

原則として、社員本人が負担するように規定しておいて問題ありません。

例外として、会社指定の医師の診断を命じた場合には、会社負担としておけばよいでしょう。

 

休職期間は勤続年数には含めない

勤続年数は有給休暇の付与日数や退職金に影響します。

では、休職していた期間中は勤続年数に含めるのか?含めないのか?という問題が生じます。

結論からいうと、休職期間中は勤続年数に含めないことと規定するとよいでしょう。

また、休職事由によっては、勤続年数に含める規定を設けても問題ありません。

 

賃金の支払いや社会保険料について明記する

休職中の賃金の支払いは、会社で自由に決めて構いません。

なお、業務外の傷病による休業には、健康保険から傷病手当金が支給されます。

 

休職期間中でも、社会保険料は毎月発生します。

普段、給与から社会保険料を控除してから、本人に給与を支給していますが、

休職中に給与を支給しない場合は、社会保険料を控除する元となる給与がありません。

本人負担の社会保険料の取り扱い方法も忘れずに決めておきましょう

 

まとめ

 

経営を圧迫しないための休職期間と賃金支払いの規定についてご説明しました。

[keikou]・休職期間は、1~6カ月が妥当です。[/keikou]

 

[keikou]・勤続年数の長さに応じて休職期間を調節しましょう。[/keikou]

 

[keikou]・休職を繰り返す社員がいることを想定し、2つのポイントを踏まえた通算制度を規定しておきましょう。[/keikou]

 

[keikou]・休職事由を確認するために、医師の診断書の提出を義務付けましょう。[/keikou]

 

[keikou]・休職期間は勤続年数には含める必要はありません。[/keikou]

 

[keikou]・賃金の支払いや本人分の社会保険料の負担について取り決めておきましょう。[/keikou]

 

 

多くの会社は就業規則のひな形を使っています。

就業規則をイチからオリジナルで作成することはとても大変な作業ですので、ひな形を使うことは、とても効率的です。

しかし、ひな形をそのまま使うと、実際に運用できないということがあります。

会社の実情や経営方針に合わせた、あなたの会社独自の「オンリー・ワン」の規則にするのが、就業規則の本来理想の姿です。

 

「就業規則届・意見書」に関する書式例

社会保険労務士が監修した

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をワードファイルでご提供しています。

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就業規則専門、神戸就業規則サポートセンター代表 社会保険労務士の清水がお伝えしました。

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