安全衛生

会社の困ったを解決!  社員が定期健康診断を受けようとしません

神戸就業規則サポートセンターが、あなたの会社の人事労務に役立つ情報をお伝えします。

[topic color="blue" title="中小企業経営者のご相談"]

 

当社は、年1回、全社員に定期健康診断を受けてもらっています。

これまでは、事前に社員に通知し、全社員が受けてくれていました。

ところが、営業部の社員の一人が、

「仕事が忙しくて、受けている時間がありません。健康は自分で管理しているので受けなくても問題ありません」

と定期健康診断を受けようとしません。

無理やり定期健康診断を受診させることもできません。

このまま、放っておいてもいいでしょうか?

 

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[topic color="red" title="神戸就業規則サポートセンターの回答"]

 

仕事に熱心なあまり、定期健康診断を受ける時間さえ惜しんで働きたい

と思う気持ちは、わからなくもありません。

しかし、定期健康診断は、労働安全衛生法で会社には実施が義務付けられています。

一方、社員には受診する義務があります。

社員は、自分の都合で、受診する・受診しないを決めることはできないのです。

繰り返し、受診することを指導し、

それでも聞き入れてもらえないようであれば、懲戒処分をすることも可能です。

 

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定期健康診断は法律で義務付けられています

近年、過労死が問題になっている背景もあり、健康診断の重要性が高まっています。

しかし、個人で、毎年、定期的に健康診断を受診する人は少ないでしょう。

そこで、会社には定期健康診断を毎年実施する義務があります。

同様に、社員には受診する義務が定められています。

 

定期健康診断として義務付けられている検査は次の項目です。

① 既往歴及び業務歴の調査

② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

③ 身長・体重・腹囲・視力及び聴力の検査

④ 胸部エックス線及び喀痰検査

⑤ 血圧・貧血・血中脂質・血糖検査

⑥ 肝機能検査

⑦ 尿検査

⑧ 心電図検査

 

定期健康診断項目の詳細は厚生労働省のパンフレットが参考になります。

定期健康診断で異常が見つかった場合

会社に課されている義務は、毎年の実施以外に、次の項目があります。

・定期健康診断の結果は、必ず本人に通知しなければいけません。

・健康診断個人票は5年間保存しなければいけません。

・診断の結果以下の項目、

① 血圧測定

② 血中脂質検査

③ 血糖検査

④ 腹囲の検査(または肥満度(BMI)測定)

全てに異常が見つかった場合、または、社員からの請求があった場合

二次健康診断を実施しなければいけません。

なぜ、二次健康診断の実施が必要かと言いますと、

近年増加する過労死を防ぐ目的があるからです。

この4項目に異常があると、

脳血管疾患および心臓疾患が発生する恐れがあるとされています。

定期健康診断の種類

会社が実施を義務付けられている健康診断には、

① 雇入れ時の健康診断

② 特定業務従事者の健康診断

③ 海外派遣者帰国時の健康診断

④ 結核健康診断

⑤ 給食従業員の検便によう健康診断

 

②の特定業務とは、深夜業を含む業務や坑内労働など身体に過度の負担がかかる業務とされています。

③は海外に6カ月以上派遣された社員が受診することを義務付けられた健康診断です。

数日の海外出張の場合は、受診の義務はありません。

これらの健康診断についても、定期健康診断と同様、拒否を繰り返す社員には処分をあたえることができます。

健康診断を受けないのは業務違反命令

「忙しくて健康診断を受ける暇がない」

「面倒くさい」

「健康管理は自分でするから、会社の健康診断は必要がない」

「プライバシーの侵害だ」

 

社員が色々な理由をつけて健康診断を受けないというケースはあるでしょう。

しかし、法律上、会社と社員の双方に健康診断受診義務付けられています。

義務を果たさない場合、会社にだけ罰則があり、50万円以下の罰金が課されることになります。

そのため、「会社はきちんと義務を果たしています」ということを証明できる状態を作っておくことが重要です。

まずすべきことは、

就業規則に

「社員は健康診断を受けなければならない」

「受診義務を果たさない場合には懲戒処分とする」

という規定をセットで記載します。

(「健康診断」に関する就業規則の規定例はこちらからダウンロードできます)

 

次に受診を拒否する社員に対し、まずは口頭で受診を促します。

口頭で受診を促す都度、「指導票」を作成しておきましょう。

数かい、受診を促したにも関わらす、それでも受診しない場合には、懲戒処分の手続きに入ります。

口頭での催促から懲戒処分に至るまでの全てを記録に残しておくことが重要です。

 

懲戒処分の内容は出勤停止や戒告処分が一般的です。

これまでの判例から判断すると、場合によっては減給処分を課すこともできると考えられます。

プライバシーの侵害を理由に拒否する社員に対しては

「自身の健康診断はプライバシーに関わるもの、

会社には知られたくありません」

という理由で定期健康診断の受診を拒否する社員に対しては、

会社は社員の個人情報について守秘義務を果たすことを十分に説明し、

本人の理解を得るところから始めましょう。

 

「健康診断」に関する就業規則の規定例

社会保険労務士が監修した

[keikou]「健康診断」に関する就業規則の規定例[/keikou]

をワードファイルでご提供しています。

御社の実情に合わせ、修正して活用することができます。

就業規則規定例のダウンロードは以下のバナーをクリック。

就業規則専門、神戸就業規則サポートセンター代表 社会保険労務士の清水がお伝えしました。

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