神戸就業規則サポートセンターが、あなたの会社の人事労務に役立つ情報をお伝えします。
有給と言えば、日単位か半日単位でしか取得できないものと思っていませんか?
制度を整備することで、時間単位で有給を与えることができるようになります。
会社にとっても社員にとってもメリットがある時間単位年休制度、
あなたの会社に
「時間単位年休制度の導入を検討しよう」と思われる経営者の方
こちらの記事をお読みください。
時間単位年休は社員・会社ともにメリットがある
例えば、朝1時間ほど病院に行ってから出勤したいという時、
多くの場合は半休をとり、病院で受診を済ませ、午後から出社するという方も多いのではないでしょうか?
1時間だけ休めば足りたのに、午前いっぱい休むことになり、
せっかくの有給休暇を無駄にしたなぁと感じる社員もいるかもしれません。
会社に時間単位年休制度があれば、社員は時間単位で有給休暇を取得できます。
実際に用事にかかった1時間を有給休暇として取得すれば、
社員にとっても有給休暇を有効に使えることになりますし、
会社としても従業員の満足を高めることができます。
社員・会社ともにメリットがありそうですね。
メリット
時間単位年休を導入するメリットを整理します。
1.有給休暇が有効に活用できる
社員にとって時間単位年休は、年次有給休暇を有効に活用する上でとても便利です。
・朝、病院で受診しから出勤したい。
・夕方からのコンサート鑑賞のため、1時間ほど早めに仕事を切り上げたい。
1日、または、半日有給をとるほどでなないけど、
数時間でいいので遅らせて出社したい・早めに退社したいといった場合に、
時間活用の幅を広げてくれる制度です。
2. 育児や介護の支援
子育て中の共働き夫婦や介護が必要な親を持つ社員の中には、
・子供が幼稚園で発熱したので、迎えに行くため、早めに退社したい。
・介護中の親の病院に付き添った後で出社したい。
といった事情で、時間単位の年休が強い味方になることもあります。
3. 時短勤務明け後の補完として
子供が3歳を過ぎ、時短勤務ができなくなった場合、
共働き夫婦が時間単位年休をうまく活用できれば、
子育ての大変な時期を乗り越えていけそうです。
時短勤務の場合、一般的に受け取る給料が減ってしまいますが、
時間単位年休は有給休暇なので給料が減ることもありません。
4. 社員満足がアップ
時間単位年休制度を導入して、仕事と生活のバランスをとれるよう支援することで、
女性活躍や働く社員の満足度アップにつながり、
会社として優秀な人材の確保や生産性の向上にも貢献してくれることが期待できます。
デメリット
時間単位年休のメリットをご紹介してきました。
実は、唯一ともいえるデメリットもあります。
それは、有給休暇の管理や給与計算が煩雑になるということです。
書類で有給休暇管理をしていたのでは、労務管理者の事務作業が増えてしまいます。
エクセルなどの表計算ソフトで管理したり、
最近では、時間単位年休を管理するためのITシステムなども販売されていますので、
導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
時間単位年休制度の導入手順
有給休暇の本来の趣旨は、社員がまとまった日数の休暇を取得することで、
日々の暮らしにゆとりが持てるようにするというものです。
時間単位年休は本来の趣旨からは、外れる制度です。
ですので、時間単位の年休はむやみに運用できるものではなく、
1年に5日まで、と労働基準法で定められています。
「メリットのある制度だから、全ての有給休暇を時間単位にすればいいじゃないか」
という意見もありますが、現在の法律では、1年に5日までと限定されています。
4つの項目を定める
時間年休制度を導入することを決めたら、
4つの項目を検討していきましょう。
①時間単位年休の対象社員の範囲を決める
制度の対象となる社員の範囲を定めます。
一部の社員は時間単位年休を与えないとする場合は、社員と話し合ってその範囲を定めます。
気を付ける点は、ここで言う範囲とは業務内容による区分を指します。
時間単位年休を取る理由によるものではありません。
工場のライン部門など、仕事内容によっては社員が時間単位の年休取得を行うと、会社全体に支障が出てしまうことがあります。
このような場合には、時間単位の有給休暇が取れる対象者から除外することが可能です。
一方、時間単位年休の対象者の範囲を年休取得の目的によって定めることはできません。
例えば、社員の育児を支援するために、育児を行う従業員のみに限って時間単位年休を与えることはできません。
②時間単位年休の日数を決める
時間単位年休の日数は1年間に5日に相当する時間が上限です。
5日分以内で、何日分の時間を1時間単位で取得できるかを定めます。
有給休暇が次の年度に繰り越されたとしても、
この繰り越し分も含めて上限が5日であることに注意が必要です。
③時間単位年休1日の時間数
1日分の有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するかを決めます。
所定労働時間に1時間未満の端数がある社員については、1時間単位に切り上げます。
例えば、所定労働時間が7時間30分の場合、8時間に切り上げます。
④1時間以外の時間を単位とする場合の時間数
時間の単位は必ずしも1時間単位である必要はありません。
時間単位の年休取得単位は、2時間、3時間など1時間以外の時間を基本単位とすることもできます。
この場合、その単位となる時間数を定めます。
但し、1時間未満の分単位での付与や取得はできません。
年次有給休暇の時間単位付与に関する協定書記載例
4つの項目を決定したら、その決定に従って労使協定を定めます。
これで、時間単位年休の導入となります。
時間単位年休の導入にあたっては、他の有給休暇との兼ね合いや、運用方法など、
事前に十分な検討をしておくことが重要です。
就業規則作成専門社会保険労務士が監修した
年次有給休暇の時間単位付与に関する協定書記載例
をワードファイルでご提供しています。
御社の実情に合わせ、修正して活用することができます。
協定書規定例のダウンロードは以下のバナーをクリック。
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