懲戒処分はわかりやすい言葉で提示する
懲罰は会社の秩序を守るために必要
会社は複数の社員が集まって働く場所です。
皆が好き勝手なことをして、秩序が維持されていない状態では、経営がうまくいかないことは明らかです。
秩序を維持するために、会社は社員に対して懲戒処分を行うことができます。
しかし、懲戒処分はあくまで会社の秩序を維持するために認められているものです。
「生意気だから」「気が合わないから」と、上司が個人的な感情で部下に罰を与えることは許されません。
場合によっては「パワハラ」として訴えられることになるかもしれません。
秩序の維持は組織では必須ですが、自由に懲戒処分をすることができるわけでもありません。
懲戒処分が認められるためには、以下の条件があると考えられています。
懲戒処分が認められる条件
1 処分の根拠規定がありその根拠は合理的であること
2 社員の非行に対して処分が重すぎないこと
3 特定の社員だけを対象としていないこと
4 手続きが適正であること
懲戒内容はわかりやすい言葉で
就業規則に懲戒に関する規定を盛り込んでいる会社は多いと思います。
御社の懲戒に関する規定を確認してみてください。
「けん責」「訓戒」「減給」「出勤停止」「懲戒解雇」といった言葉で懲戒の種類が規定されていませんか?
しかし、「けん責」「訓戒」と言った言葉を並べても社員はその内容を理解できるでしょうか。
会社も意味をきちんと理解して処分を下すことができていますか?
下記の規定例のように誰もが懲戒処分の内容を理解できる表現にすることが必要です。
社員の非行に対してどのような処分をなされるかを、わかりやすい言葉で知らせておくが、秩序違反を予防する観点からも重要なポイントと言えるでしょう。
なお、就業規則に定めていない種類の懲戒処分は無効となる判決もあることも注意してください。
懲戒処分の規定例
第○条(懲戒の種類)
会社は、社員が本規則に定める懲戒事由のいずれかに該当した場合には、その事由及び状況に応じ次の区分により懲戒処分を行う。
① 厳重注意:口頭注意の上、将来を戒めると共に始末書の提出を求める。
② 減給:口頭注意の上、減給するとともに始末書の提出を求める。ただし、減給は一回の事案に対する額が平均賃金の一日分の半額、総額が一給与支払金における給与総額の1/10の範囲で行う。
③ 出勤停止:始末書を提出させ、7労働日以内の期間を定めて出勤を提出するのは出勤停止の期間は無給とする。
④ 降格:始末書を提出させ、社員資格等級を下げる
⑤ 諭旨退職:退職願を提出するよう勧告する。なお、勧告した日から7労働日以内に退職願を提出しないときは懲戒解雇とする。
⑥ 懲戒解雇:予告期間を設けることなく即時解雇する。この場合において、所轄労働基準監督署長の認定を受けた時は解雇予告手当を支給しない。なを懲戒解雇に処するものに対しては退職金の全部又は一部を支給しない